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デジタル化時代の出張手続き:搭乗券の電子化と対処法

デジタル時代の海外出張術

大学の出張手続における搭乗券半券の重要性

大学や研究機関では、出張後に出張報告書や経費精算書を提出する際、搭乗券(ボーディングパス)の半券が必要となることが一般的です。搭乗券半券は、実際に出張を行った証拠として求められ、出張手続きの一環として重要な書類です。

「航空券(eチケット)」と「搭乗券」の違い
航空券(eチケット)と搭乗券は混同されやすいですが、役割が異なります。

  • 航空券(eチケット)は、航空会社との間で購入契約が成立したことを示す「予約・購入の証明書」であり、旅程や便名、搭乗者の情報が記載されています。航空券を持っていても、そのままでは飛行機に搭乗できません。
  • 搭乗券(ボーディングパス)は、チェックイン手続きを完了した後に発行される「搭乗許可証」で、実際に飛行機に乗るために必要となります。

大学や研究機関の出張手続きでは、実際に出張したことの証明として「搭乗券の半券」が求められ、航空券(eチケット)の控えだけでは不十分な場合が多い点に注意が必要です。

搭乗券のペーパーレス化

近年、航空会社の多くがオンラインチェックインサービスを提供しており、これにより搭乗券のペーパーレス化が進んでいます。オンラインチェックインを行った際に利用者は、「モバイル搭乗券」「自分で搭乗券を印刷」「空港の自動チェックイン機で印刷(従来の搭乗券)」から選択することになります。

モバイル搭乗券

モバイル搭乗券(モバイルボーディングパス)とは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに表示される電子形式の搭乗券のことです。紙の搭乗券の代わりに使用され、利便性が高いことから利用率が高まっています。

出張手続きに紙の搭乗券半券を求められている場合は、モバイルデバイスのスクリーンショットなどで代用可能かどうか、事前に経理担当者に確認しておく必要があるでしょう。

自分で搭乗券を印刷

オンラインチェックイン後に送信される搭乗券(PDF)をプリンターで印刷して利用する方法です。空港で印刷をする手間を省けるメリットがありますが、印刷できる環境が無い場合、特に復路分は海外出張時に手続きすることになりますので、利用することが難しいケースもあるでしょう。

こちらの搭乗券を利用される場合も、モバイル搭乗券同様に経理処理が可能かどうか、事前確認されることをお勧めいたします。

空港の自動チェックイン機で印刷(従来の搭乗券)

オンラインチェックインを行った場合も、従来の搭乗券を利用することは可能です。空港到着後に、チェックインカウンター近くに設置されている自動チェックイン機で搭乗券を印刷します。これは従来の搭乗券と同じ形式であり、経理処理をスムーズに行うことができます。

搭乗券半券を紛失した場合

万が一、紙の搭乗券半券や電子搭乗券のデータを紛失した場合でも、航空会社が発行する搭乗証明書を使って出張手続きを進めることが可能です。ただし、近年では搭乗証明書の発行に手数料がかかる航空会社も増えているため、注意が必要です。
搭乗証明書を請求する前に、手元に残っている書類の中で搭乗券半券の代替として認められるものがないか、念のため経理担当者に掛け合ってみることも大切です。

大学の出張手続において、搭乗券半券は重要な証拠書類です。オンラインチェックインで搭乗券が電子化された場合も、適切に保存・管理し、必要に応じて紙版を印刷しておくことが求められます。上記の方法を活用して、出張後の手続きをスムーズに進められるよう準備しましょう。

紙の搭乗券がなくなる近未来

航空業界では、ICAO(国際民間航空機関)が提唱する「デジタルトラベルクレデンシャル(通称:ジャーニーパス)」の導入により、2〜3年以内にチェックインや紙の搭乗券が不要となる未来が現実味を帯びています。すでに欧州大手LCCのライアンエアーは、2025年11月以降は紙の搭乗券を全面廃止すると発表しています。

さらに、IATA(国際航空運送協会)による「Contactless Travel Directory(非接触型旅行手続き)」などが航空会社・空港間の技術連携を後押しし、5~10年のうちに紙の搭乗券はほぼ消滅するという見方が広がっています。未来の海外旅行では、顔認証やパスポート情報のスマホ保存などにより、空港の各所で自動的に本人確認と搭乗処理が行われ、手続きはすべてデジタル化されます。(ただし、高齢者やスマートフォンを使えない方への対応は、完全移行への重要な課題として残っています。)

こうした航空業界の変化に合わせて、大学や研究機関の出張規程も将来的にアップデートが求められるでしょう。研究者の負担を減らしつつ、時代に即した証憑管理へと移行していくことが期待されます。